YouTubeチャンネル運用の成功戦略:ブランディングから集客まで
こんにちは。株式会社デジアサのYouTubeディレクター、千葉大地です。今日は、「YouTube戦略」についてお話しします。
企業のYouTube活用方法
今やテレビを凌ぐ主要な映像メディアとして台頭しているYouTubeは、企業のマーケティング施策において欠かせない存在となっています。企業がYouTubeを活用する目的は、「ブランディング」、「認知度拡大」、「集客」など多岐にわたりますが、正しいチャンネル運用戦略を実践すれば、大きな成果を上げることができます。
しかし、実際には目標を達成しているYouTubeチャンネルはそれほど多くありません。その主な理由として、「YouTubeチャンネル運用のための明確な戦略」が不足していることが挙げられます。
多くの担当者は、「とにかく動画をたくさん投稿すれば、チャンネルが自然と成長し、認知度拡大や集客に繋がる」と考えがちですが、それは誤りです。このような時代は終わりました。
YouTube市場には数多くのチャンネルが存在し、正しい戦略立案とポジショニングができなければ、他のチャンネルに埋もれてしまい、リソースを浪費する結果となります。実際に、多くのリソースを投入してチャンネルを運用したものの、期待した成果が得られずYouTubeを諦めた企業に何度も出会いました。
YouTube戦略における三要素
では、どのようにして自社のYouTubeチャンネルを成長させ、企業の目標を達成すればよいのでしょうか? ここで重要となるのが、次の三要素です。
- Who(誰に):ターゲットとなる視聴者の定義
- What(何を):提供するコンテンツの企画
- How(どうやって):コンテンツの訴求方法
このフレームワークはマーケティングでも頻繁に使われるため、馴染みのある方も多いかと思います。では、これらの要素を順に説明していきます。
1. 「誰に」:ターゲット視聴者(ペルソナ)の明確化
YouTubeチャンネル運用において、最初に考えるべきは「誰に対して情報を発信するか」、すなわちペルソナの具体化です。
多くの企業が、「できるだけ多くの人に認知されたいからターゲットを絞りたくない」、「既存顧客が幅広いので、YouTubeでも広範なペルソナを網羅したい」と考えがちですが、このアプローチはYouTubeチャンネルを成長させる観点からは逆効果です。ペルソナはできる限り具体的で、かつ1人に絞ることが大切です。
個人的に、YouTube運用の本質は「恋愛」に非常に似ていると考えています。YouTubeチャンネルの視聴者に好かれ、継続的に見てもらうためには、恋愛と同じく、相手に好きになってもらうための努力が必要です。
恋愛においては、相手とデートに行ったり、空いた時間に連絡を取ったりして、多くの接点を経てお互いのことを好きになっていきます。しかし、もし同時に複数の人にアプローチしていたらどうでしょうか? 1人に対して割ける時間が減り、デートや連絡の頻度も少なくなります。その結果、相手があなたのことを考える機会が減り、次第に飽きられてしまうでしょう。
YouTube運用におけるペルソナ設定もこれと同じです。ターゲットを広く設定するのは、一見すると網羅性が高いため実りが大きいように感じますが、実際には動画ごとにメインターゲットがブレてしまい、結果としてどの視聴者とも十分な接点を持てなくなります。そのため、誰にも「好きになってもらえない」というリスクを孕んでいます。まさに「二兎を追う者は一兎をも得ず」です。
さらにYouTubeでは、ページを開けば数多くの他チャンネル(=恋敵)のサムネイルが視界に飛び込んできます。視聴者が他のチャンネルに目移りするのも当然です。
恋愛と同じように、YouTube運用においてもペルソナを1人に絞り、視聴者との深い接点を築くことが重要です。
また、ペルソナの絞り方については、以下の要素を鑑みて設定する必要があります。
1. チャンネルの運用目的
2. 既存顧客の属性
3. YouTube上の市場規模
特に、③YouTube上の市場規模(そのペルソナに該当する視聴者ボリューム)については、YouTubeに精通したプロでなければ分析が難しい要素です。せっかく自社なりにペルソナを設定し、さまざまな動画を投稿してみたものの、そのペルソナに該当する人口が少なく、伸び代がない層を狙ってしまっていたというのは、非常にもったいないことです。
ペルソナ設定に関しては、事前にYouTubeのプロに相談するのが無難でしょう。
2. 「何を」:コンテンツの企画
次に、設定したペルソナに対して「どのような情報を提供するか」を考えます。ここでの鍵は、「ターゲット視聴者が何を求めているか」を中心に据えることです。企業が発信したい内容ではなく、視聴者が求めているコンテンツを企画することが重要です。
たとえば、アウトドアが好きな相手に対して、知り合ったばかりの段階で「一緒にゲームをしよう」と誘うのはナンセンスです。晴れた日なら、ピクニックやバドミントンに誘う方がはるかに効果的でしょう。
同様に、ある美容室が認知度拡大を目的としてYouTubeチャンネルを開設し、ペルソナを「ヘアセットが上手くなりたい30代のOL」と設定したとします。しかし、もしそのチャンネルで投稿する動画が、ヘアカットのビフォーアフター動画ばかりだったらどうでしょうか?
確かに、近々髪型を変えたい人や美容師の方にとっては興味深い内容かもしれませんが、ペルソナとして設定した「ヘアセットが上手くなりたい人」にとっては最適なコンテンツとは言えません。むしろ、ヘアスタイリストが「自宅でできる簡単ヘアセット術」を教える動画の方が、そのペルソナにとってはより有益で魅力的なコンテンツとなるでしょう。
このように、コンテンツを企画する際は、企業が「何を発信したいか」ではなく、ペルソナが「何を求めているか」を第一に考えることが重要です。
また、ペルソナに近い立場にいる人ほど主観的な考えや意見が強くなりがちで、客観的な視点を持つことが難しくなる場合があります。そのため、コンテンツ企画には「第三者的なポジション」の人が参加することが望ましいです。これにより、より客観的で視聴者のニーズに合ったコンテンツを作成することが可能になります。
3. 「どうやって」:コンテンツの訴求方法
ペルソナとコンテンツが決まれば、次に「どのような切り口でコンテンツを訴求するか」を検討します。ここでの工夫が、視聴者に響くコンテンツとなるかどうかを左右します。
たとえば、先ほどのアウトドア好きな相手(=ペルソナ)とピクニックをする(=コンテンツ)という例を考えたとき、次に考えるべきは「どのようにピクニックを楽しんでもらうか」という部分です。具体的には、「相手の家に近い公園を選んで移動の負担を減らす」、「手作りのご飯を持って行って、家庭的な一面をアピールする」といった工夫が考えられます。
YouTubeで言う「切り口」とは、以下のような要素を指します。
1. 演者の立ち位置・キャラクター
2. 動画の役割や構成
3. 動画タイトル
4. サムネイルの文言およびデザイン
この「切り口」は、視聴者の反応やエンゲージメントの数値から、タイムリーにその善し悪しを判断しやすい特徴があります。逆に言えば、チャンネルを開設してすぐに最適な切り口が見つからなかったとしても、数値分析や仮説・検証を重ねることで、短期間で改善することが可能です。
例えば、前述の美容室チャンネルが「自宅でできるヘアセット術」という企画を実施する際、以下のような「切り口」の工夫が考えられます。
- 視聴者に親近感を持ってもらうため、「出勤前のお姉さんが、世間話を挟みながらラフに解説してくれる」というコンセプトで、撮影は自宅で行う。
- 継続的な視聴を促すため、「現役プロが教える『おうちヘアセット講座 ◯◯編』」のように、シリーズ企画にする。
- サムネイルやタイトルの文言は、「出勤前の10分でOK!『オフィス向けヘアアレンジ』」や「結婚式やパーティーで!大人女性の『お呼ばれヘアセット』」など、ペルソナのニーズや日頃の悩みに沿った表現をする。
また、この切り口の検討においても、コンテンツの企画と同様に「客観的な目線を持った第三者」を挟むことが理想です。特に、アナリティクス分析をはじめとする「チャンネルやジャンルを横断したYouTubeマーケティングのノウハウ」が必要となるため、プロに相談するのが最も効果的です。
まとめ
企業がYouTubeを活用する上で、成功の鍵は「戦略的なチャンネル運用」にあります。単に動画を投稿するだけではなく、ターゲット視聴者(ペルソナ)を明確にし、彼らが求めているコンテンツを企画し、適切な訴求方法で発信することが重要です。
特に、Who(誰に)、What(何を)、How(どうやって)という三つの要素をしっかりと押さえることで、YouTubeチャンネルが確実に成長し、企業の目的である「ブランディング」、「認知度拡大」、「集客」へと繋げることができます。
YouTube市場はますます競争が激しくなっていますが、適切な戦略を持っていれば、他のチャンネルに埋もれることなく、確実に成果を出すことができるでしょう。もし自社での運用に課題を感じている場合は、専門家に相談し、効果的な戦略を立てることをおすすめします。
皆様のYouTubeチャンネル運用において少しでもお役に立てれば幸いです。ご興味を持っていただける方は、「無料相談」「資料請求」フォーム送信をお願いします。
別途、営業担当よりご連絡をさせていただきます。