それでも・少額でもTVCMを打った方が効果的な理由
こんにちは
朝日放送コンテンツマーケター藤田謙太郎です。
2025年始まってすぐですが、某テレビ局が世間を賑わせています。
こちらは問題の本質がまた違うところにある事象ですが、
今回はそもそもTVCMを打った方が良いのか悪いのか?のついてお話します。
先に私の結論からお伝えします。
タイトルにあるように「それでも・少しでもTVCMを打った方が良いです」
私がテレビ局の社員だから言っているのではありません。
マーケティングという視点から見た際に、TVCM出稿は皆さんが気付いていない効果があるためです。
USJを再生させた某マーケター然り、プロのマーケターがこぞってTVCMを使う理由もおそらくここにあると私は思っています。
TVCMを打つ際に効果的な仕掛け方も含めて、いくつかのパターンでご紹介します。
パターン1:社名・サービス名を検索させるために投下
海外向けのWi-Fiサービスを提供されている某企業の代表は、TVCMはサービス名認知のためだけにやっているとはっきり仰っていました。「そりゃ、当たり前でしょ」と思われたかもしれませんが、クリエイティブ含めてこの目的を一気通貫で貫ける企業、実はかなり少ないんです。
どういう事かというと、まずはKPIです。
CMの場合、どれだけの人に届いたかというGRPという指標は以前よりあります。
勿論、この指標も客観的事実を表す上では悪い指標ではありません。
しかし、昨今、TVCMを活用されている企業では「ネットでの社名やサービス名の検索数(これを指名検索数といいます)」をKPIにされているところもあります。
これ、冷静に考えると実は当たり前の事なんです。
TVCMを見る、そして気になったら人は手元のスマホで検索する(今でも後でも)、たったこれだけの事です。
裏を返すと、見た人が遅かれ早かれそのアクションを起こしてくれない認知って、ふわっとしていて企業側からは正直分かりにくいんです。
また、KPIをこの「ネットでの検索数」に置いた際、重要なのは「いかにTVCMでターゲットに何度も見てもらうか」だと考える人も多いかもしれませんが、半分正解で半分不正解です。
確かに何度も見てもらう事は重要です。しかし、中身が印象に残らないTVCMを人は何百回見ても検索はしません。
先ほどご紹介した、海外向けのWi-Fiサービスを提供されている某企業のTVCMは実に秀逸です。
この企業がそのサービスをしている、その1点に絞り、それをインパクトを持って発信しているのです。
何が秀逸なのか?
ポイントは2つです。
1つは1点に絞っているという事。
これはTVCMに限らず、多くの企業が“広告”において一番やってしまうミスですが、多くの企業は広告に内容を盛り込み過ぎです。広告は気づいてもらうための仕掛けで「全て正しく理解してもらうためのツール」ではありません。今の時代、後者はもうWebページ等がその役割を担います。なので、KPIを先に決めたら、それが最も達成させるためには?という1点に絞りクリエイティブを構成した方が結果として成功しやすいです。
ちなみにWEB広告ではクリック数をKPIにすることを当社はオススメしています。
もう1つ、このTVCMが秀逸なポイントは、敢えて何も関係のない要素を加える事で予定調和を崩しているのです。
具体的に言うと企業名が分かってしまいますが、このように考えて下さい、その企業やサービス名をスタートラインにして連想ゲームをしていくとします、その連想ゲームで出てくる延長線上にあるものって、実はマーケティング的視点では全て「予定調和」の産物なんです。見ている人が「でしょうね」という感想しか持たないものという事です。世の中の広告の多くはこの予定調和の産物ばかりです。
だからこそ、そんな中で“一見、何も関係が無いような異質な要素”をクリエイティブに取り込む事で、予定調和を崩し、見ている人の印象により色濃く残るのです。
この「1つに絞る」「何も関係の無い要素を加えて予定調和を崩す」という2点をしっかり実行すればTVCMはまだまだ強力な破壊力を持っています。要はそれを見た人がネットで検索するような認知を得られやすいという事です。
パターン2:既成事実を創るために投下
これは実はここ数年で効果的になってきたTVCMの仕掛け方です。
「TVCMを打っている」とうい既成事実を創るため、TVCMを打つのです。
「ん?なんの話ですか?」と思われるかもしれません。
このお話をする上で重要な考え方に、当社が推奨している「トラスト・マーケティング」というものがあります。これは、昨今のマーケティング活動においては「信頼」というものがより重要視され、それを付加しなければなかなか成功に導きにくいという考えです。
考えてみてください。
皆さんが普段よく触れている広告はネット広告が多いと思います。
しかし、このネット広告、無許可で有名人の写真やAI合成の音声を使ったものや、インフルエンサーにお金を支払って推奨してもらっているものが溢れています。また少額でも出稿できるという事から、大企業からそれこそ昨日誕生したようなベンチャー企業まで様々な企業が広告出稿しています。
そんな広告の中で、どの広告を信じて/どの広告は信じないか、それを人は無意識で頭の中で一瞬で判別しています。判別要素は人によって様々あるでしょう。
しかし、ここでキーとなってくるのは“ほんの少しの安心感”なんです。
「なんとなく本当っぽいから」「なんとなく安心できる企業っぽいから」
そういうほんの少しの気持ちが、数多あるWEB広告の中でその広告をより際立たせてくれます。
ここでTVCM出稿の既成事実が活きてくるのです。
どういう事かと言いますと、TVCMを出稿し、このサービスでCM出稿しているという事実をWEB広告の告知でも織り交ぜるのです。
TVCMには皆さんどういうイメージがありますか?
「大企業じゃないと打てない」「お金に余裕がある企業じゃないと打てない」「審査が厳しそう」
こういうイメージを持たれる人も多いのではないでしょうか?
ただ、だからこそ、例えばそこまで有名ではない企業がTVCMを打っているとどういう印象になるでしょうか?
ちょっと俗っぽい表現となりますが「そんなに儲かっている企業」「審査を通して出稿している」等となります。
これらのイメージがもたらすものが、まさに先ほどお伝えした「ほんの少しの安心感」に繋がりやすいのです。
要は、TVCMを打つぐらいなので、そこまで儲かっていて、且つ企業としてもクリーンなんだろう、という印象に繋がりやすいです。これはTVCMを見て育った中高年以上だとより効果が高くなりますし、ひょっとしたら頻繁にTVCMに触れていないかもしれない若年層でも同様のブランディングは発動しやすいです。
お話を戻しますと、WEB広告で二次告知を行う前提で、TVCMを出稿する、こういう使い方もあるという事です。この場合の出稿はパターン1のように大量出稿する必要もないかもしれませんし、クリエイティブもそこまで尖ったものを創る必要もないかもしれません。仮に少額であっても本当にTVCMを一定出稿した、という事実が何よりも大事です。
これからのマーケティングははっきり言って「団体戦」です。
この媒体に出したら全ての広告投資を回収できる、そんな都合の良い媒体はありません。
複数媒体にそれぞれ異なる役割を担ってもらい成果を追うスタイルがより主流になっていくと思います。
現に多くの現役プロマーケターもそういう手法を採っている人がほとんどです。
当グループはテレビ局も持っておりますので、TVCMのご相談とそれを活かしたWEB広告のご相談をセットでしていただく事が可能です。こういう会社は比較的稀かもしれません。お問合せ下さい。