TVer広告の仕組みを完全網羅!費用・メリット・運用フローを解説

近年、地上波放送の枠にとらわれないコンテンツ視聴が広がり、見逃し配信サービスの需要が高まっています。そうした背景から注目度を増しているのが、番組視聴のタイミングに合わせて流れるTVer広告です。ネット環境さえあればどこからでも視聴できるため、従来のテレビ広告に課題を感じている企業やマーケティング担当者にとって魅力的な選択肢となっています。ここでは、TVer広告の仕組みやメリット・デメリット、出稿の流れなどを整理しながら、テレビCMや他の動画広告とは異なる特徴を解説していきます。
TVer広告の概要と特徴
TVerとは在京民放キー局を中心に、地上波テレビ番組の見逃し配信を無料提供しているプラットフォームであり、視聴者は放送終了後のドラマやバラエティ番組を好きなタイミングで楽しむことができます。視聴画面の冒頭や途中に広告が入るため、ユーザーが動画を再生しているあいだ確実にアプローチできる点が大きな特徴です。地上波CMのような大量リーチを狙うのとは異なり、オンラインベースの配信であるため、ある程度明確なターゲット像を思い描きながら広告を出せるメリットがあります。
さらに、YouTube広告と比較してもスキップされにくい仕組みがあるため、高い視聴完了率を望めるという声が多いようです。テレビCMはコストが高額になりがちですが、TVer広告であれば予算や番組枠に合わせて調整しやすく、結果として効率的な広告投資になる可能性があります。
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TVer広告の仕組みと配信形式
TVer広告は、地上波テレビの見逃し配信をベースに展開される点が特徴です。配信されるタイミングや広告の形態によって成果が変わるため、どのように挿入されるかを理解することが重要となります。次に、具体的な広告形式や視聴の流れをもう少し詳しく見ていきましょう。
広告の種類とタイミング
TVer広告には、番組が再生される前に挿入されるプレロール広告と、再生途中で差し込まれるミッドロール広告という二つの代表的な形式があります。ユーザーは番組を見始める際にプレロール広告を視聴し、さらに本編の途中でもミッドロール広告を目にする機会があるため、番組に興味を持っている視聴者にリーチしやすい点が特徴です。地上波のリアルタイム放送と違って視聴時間帯に一律の偏りが生じにくく、それぞれのユーザーが自分の都合の良いタイミングで再生を開始するため、広告が流れるタイミングも視聴者の生活スタイルに寄り添った形になると言われています。
ターゲティング技術
TVerはインターネット配信の仕組みを活かし、地域や年齢層、番組内容やユーザーの視聴履歴に応じて広告を配信できます。たとえば、ファミリー向けのバラエティ番組を好むユーザーには育児関連商材を訴求し、ビジネス関連の情報番組を視聴する人にはBtoBサービスの広告を流すといった細やかな出し分けが想定されます。
地上波CMでは番組枠ごとにエリアを限定して流す手段が限られますが、TVer広告であればピンポイントなエリアターゲティングや、より詳細なデモグラフィックターゲティングが可能になります。セグメント精度が上がるほど無駄の少ない配信が行えるため、さまざまな企業が注目しているのです。
視聴完了率と課金形態
TVer広告の視聴完了率は高いとされ、特にプレロール広告はスキップボタンが付いていないケースも多いため、見逃し配信を観ようとしているユーザーが最後まで広告を見続ける可能性が高まります。
課金形態としては、広告が表示された回数に応じて費用が発生するインプレッション課金や、動画を何秒以上再生したかをベースに料金が決まる視聴完了課金などが存在しており、広告主の目的や予算に合わせて選べるのが特徴です。費用対効果を重視する場合には視聴完了課金を取り入れる企業も多く、ブランディングに重きを置く場合にはインプレッション課金を活用しやすいと言われています。
TVer広告のメリット
地上波と異なるオンライン配信ならではの強みが、TVer広告には数多く存在します。視聴完了率の高さやターゲティングの柔軟性など、メリットを正しく理解し活用することで、広告効果を最大化できるでしょう。では、どのようなメリットが企業にとって魅力的なのか、具体的に確認していきます。
視聴完了率が高い
テレビ番組の見逃し配信は、ユーザーがわざわざ検索してまで見たいと感じるコンテンツである場合が多いため、再生開始時に流れる広告を飛ばされるリスクが比較的小さいと言われています。特にプレロール広告は冒頭で必ず流れる形式が主流であり、視聴者が離脱せずに広告を最後まで見るケースが高確率で起こるのです。結果として、テレビCMと比べても費用対効果が得やすいという評価があり、知名度アップやブランディングを重視する企業には有力な手段となっています。
テレビを見ない層にもリーチできる
リアルタイム放送のテレビ視聴が減少傾向にある若年層や都市部の人々にとって、TVerのような見逃し配信サービスは日常的に利用するメディアになっています。そのため、地上波CMだけでは届けきれない層へのアプローチが可能となり、マス広告では取りこぼしていた潜在顧客にもリーチできるのが大きな利点です。コンテンツを自分の好きな時間に視聴するというライフスタイルが定着し始めている今、TVer広告を通じて時間や場所に縛られないプロモーションを展開する企業が増えています。
細かいターゲティングが可能
地上波CMでは、全国放送か一部の地域放送かという大まかな区別しかできませんが、TVer広告ならば地域や番組カテゴリー、視聴者の属性に合わせて細分化された広告配信を行えます。これはリスティング広告やSNS広告に近い精度を持ち、無駄な露出を減らしながら特定のユーザーにメッセージを的確に届けるための大きな強みになります。コストを最小限に抑えつつ、高い転換率を狙う施策を展開する企業も増えており、多くの広告担当者がこのターゲティング機能に注目しています。
ターゲティングの種類 | 内容・条件例 | 活用シーン例 |
エリア(地域) | 都道府県、主要都市(東京・大阪・名古屋など)単位での配信が可能※詳細はお問い合わせください | 関東圏限定のキャンペーン、地域密着型のサービス告知など |
年齢層 | 例:18〜24歳、25〜34歳、35〜44歳、45歳以上など5歳刻みで設定可能 | 若年層向けの新商品プロモーション、中高年向けの健康食品など |
性別 | 男性、女性 | メンズスキンケア・女性向けファッションなど |
番組ジャンル | ドラマ、バラエティ、アニメ、報道、スポーツなど | 特定ジャンルのファン層に合わせたブランディング施策 |
番組個別指定 | 人気番組を指定して広告を配信可能(※一部制限あり) | 番組タイアップ的な訴求、視聴者との親和性を高めたいとき |
時間帯(間接的) | ゴールデンタイム中心・深夜帯中心など視聴傾向に応じて配信 | 学生が見やすい夜間帯狙い、主婦層が視聴しやすい午前帯など |
デバイス種別 | PC、スマートフォン、タブレット、スマートTVなど | スマホでよく見られる商品(アプリ・EC)などのプロモーション |
オーディエンス属性 | 過去の視聴履歴や興味関心をもとにしたユーザー行動ベースのターゲティング | エンタメ好き、ビジネス志向のユーザー層への訴求 |
クリエイティブ別配信 | クリエイティブのバリエーションによるABテストや属性別の出し分けが可能 | 男女別に訴求内容を変える/地域ごとに内容を変える場合など |
地上波CMとのシナジー
すでに地上波でCMを流している企業が、TVer広告も同時に利用すると相乗効果が狙える例があります。テレビ放映で商品やサービスを知った視聴者が、見逃し配信でも同じ広告を目にすることでブランドの認知度がさらに高まる仕組みです。また、地上波CMとの訴求ポイントや映像演出をそろえておくと、ユーザーの印象が一貫しやすくなり、より深く記憶に残るケースが多いと言われています。オンラインとオフラインの両方を組み合わせることで、多層的な接触機会を生み出している点が特徴です。
TVer広告のデメリット
一方で、配信枠の制限や地上波CMほどのインパクトが得られにくいといった課題も見逃せません。実際に導入を進めるうえで、あらかじめ知っておきたいリスクや不便さを把握しておくことは大切です。次のステップでは、こうしたデメリットの内容を整理していきます。
配信できる枠や審査基準に制限がある
TVer広告は、あらかじめ設定されている広告枠内で配信されるため、すべての番組に自由に出稿できるわけではありません。番組の内容によって広告のマッチング度合いが変わるだけでなく、著作権や番組スポンサーなどの関係で、広告素材が制限される場合も考えられます。
さらに、広告クリエイティブに関しても、放送倫理や運営ポリシーに反する内容が含まれていれば審査で落ちるリスクがあります。こうした点から、出稿の際には早めに運営や代理店と連携して計画を組み立てる必要があるでしょう。
地上波CMほどの大量リーチは得にくい
TVer広告は地上波CMよりもターゲットを絞り込みやすい反面、一度に膨大な視聴者へリーチするのが難しい場合があります。全国放送のテレビ番組が瞬間的に数百万から数千万規模の視聴者を集めるのに対し、見逃し配信は一定期間にわたって各ユーザーがそれぞれのペースで視聴するため、短期間で大きなインパクトを生みたい企業にとっては物足りない可能性があります。ただし、局所的に高いコンバージョンや認知向上を狙う場合、かえって効率的な方法として活用できるという声もあります。
競合増加による広告枠の単価上昇
見逃し配信サービスの利用者が増えると、広告主の数も増加していくことが予想されます。人気番組ほど広告枠が集中しやすく、出稿を希望する企業が多ければ費用が高騰するリスクがあるでしょう。そうした場合でも早めにテスト出稿を行っておけば、配信実績を踏まえたうえで次のプランを立てやすくなります。
市場が広がるほど魅力的な媒体になる一方、競合も増えて単価が上がるリスクがある点を念頭に置いて、導入タイミングを検討することが大切です。
配信費用と料金相場
TVer広告の費用は、番組の人気度や広告配信期間、さらには課金形態によって変動します。一般的に地上波CMと比べれば、明確に低コストとは言い切れないものの、もっと細かく予算配分を行える点や、より絞り込んだターゲットへアプローチできる点が評価されています。
たとえば、視聴完了課金を選択すれば、実際に広告を最後まで見てもらった分だけ料金が発生する形になるため、無駄打ちを軽減できる可能性があります。ただし、人気番組やゴールデンタイムの配信枠など、どうしても需要が集中しやすい部分は予算が高めに設定される場合もあるようです。具体的な金額は公開されていないケースが多いので、詳細を知りたい場合は運営や代理店に見積もりを依頼するのが近道です。
出稿から運用までの流れ
TVer広告を効果的に活用するためには、出稿から運用開始までのプロセスをしっかり押さえる必要があります。
まず、大まかな出向手順は以下の1~5となります。

直取引や代理店を活用する方法など、企業のリソースや目的に合わせて手順を組み立てるのがポイントです。ここからは、具体的な流れや注意点を段階的にご紹介します。
出稿方法(直取引・代理店経由)
TVer広告を出稿するには、運営会社と直接契約して広告枠を買い付ける方法と、広告代理店などを通して運用を代行してもらう方法があります。直取引の場合はコストを抑えられる可能性がある一方で、番組選定や広告審査の詳細を自社で調整しなくてはならず、制作から効果測定までを自前で行う手間がかかるでしょう。代理店を経由すればクリエイティブ制作やレポート作成も一貫してサポートしてもらえるため、リソースに限りがある企業にとっては有効な選択肢となります。
クリエイティブ制作と入稿手順
TVer広告で用いられる動画素材は、15秒や30秒程度が中心となります。地上波CMと同様に、画質や音声レベル、コンプライアンス面などでクリアすべき項目があり、審査に合格しないと配信開始できないケースもあるため、事前にガイドラインをよく確認しておく必要があります。入稿してから実際に配信されるまでには数日程度のリードタイムがかかることがあるので、キャンペーンの開始時期や番組の放送スケジュールに合わせて逆算しながら進めるとスムーズです。
配信レポートと効果測定
配信レポートでは、視聴完了率やクリック率、コンバージョン数(CV数)などを中心に、どのように広告が受け止められているかを分析できます。たとえば視聴完了率が極端に低い番組枠があればクリエイティブや番組選択を見直し、CTRが高い枠があればそこに予算を集中させるといったPDCAを繰り返すことが成果向上の鍵となります。TVer広告はオンライン配信ならではの詳細なデータを取得できる部分が強みであり、適切な改善サイクルを回すことで費用対効果を高めることが期待できます。
運用のコツ・成功事例
運用においては、ターゲット設定やクリエイティブの設計など、成果を左右する要素が数多く存在します。成功事例を踏まえながら、失敗を避けるコツや効果的なアプローチを学ぶことで、より良い結果に結びつけやすくなるでしょう。次に、具体的な事例とあわせて運用時のポイントを見ていきます。
ターゲット設定と広告内容の最適化
TVer広告では細かいターゲティングが可能ですが、設定を狭めすぎるとリーチ数が極端に小さくなり、広げすぎると費用対効果が下がりやすいという難しさがあります。そのため、最初は幅広い層を想定して配信を行い、データを見ながら徐々に条件を絞っていくアプローチが効果的とされています。
また、実際に成功している企業の多くは、冒頭数秒の演出にこだわって広告動画を作り、視聴者が離脱しないよう工夫しているようです。ブランドロゴやキャッチコピーを短い時間で印象的に提示することで、最後まで視聴してもらう確率を高めることができます。
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失敗しがちなポイント
TVer広告においてよくある失敗は、地上波CMと同じ感覚で一気に大量の予算を投じてしまうケースです。番組やターゲットの選定が十分でないうちに大規模出稿を行うと、期待した成果を得られずに費用を無駄にする可能性が高くなります。
また、ユーザー属性に合わない広告クリエイティブを流してしまうと、視聴完了率やCTRが低下して広告効果が薄れてしまう恐れがあります。段階的なテスト配信や、複数のクリエイティブを用意して結果を比較する方法を取り入れながら、最適化を図ることが重要です。
TVer広告に向いている商材・業種
TVer広告は、商品やサービスの認知度を高めたい場合に特に有効とされ、消費財や小売り・ECなどの分野では結果が出やすいと言われています。毎日の生活に密接した商品であれば、人気番組の見逃し配信を観る視聴者の目に留まりやすく、短期間での知名度アップにつながる可能性があります。エンタメ系の商材とも相性が良く、映画やイベント情報の告知に動画広告を活用することで、映像のインパクトをそのまま届けられる点が強みです。
また、BtoB企業であっても、ブランド認知が重要な商材であれば、企業イメージを訴求する場としてTVer広告を活用する事例も増えています。
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代理店の活用とおすすめ選定ポイント
代理店を利用すると、TVer広告の審査基準や番組選定に関するノウハウを活用しながらスムーズに出稿を進められる利点があります。代理店によっては特定の業種に強みを持つところや、クリエイティブ制作から効果測定までワンストップで行う体制を整えているところもあるため、実績やサポート内容をよく確認して選ぶことが大切です。
TVer広告の実績が豊富な代理店であれば、どの番組がどのような層に見られやすいかというデータを蓄積している場合が多く、番組指定による配信最適化が期待できます。問い合わせや資料請求のハードルを下げている代理店も多いので、複数の候補を比較検討してみましょう。
動画支援 | 朝日放送グループがSNS支援、動画支援「ASAHIメソッド」
まとめ:ターゲットを明確にしながら段階的に運用しよう
ここまで、TVer広告の概要や仕組み、メリット・デメリット、費用相場、運用のポイントを総合的に確認してきました。地上波CMほどの爆発的リーチは望みにくいものの、ターゲティングや視聴完了率の高さ、柔軟な予算設定といった魅力があるのも事実です。具体的な行動としては、まずは運営会社や代理店に見積もりを依頼し、自社の予算や目標に合った配信プランを選ぶことが重要です。ターゲットを明確にしながら段階的に運用し、効果測定のデータをしっかり分析して次の施策につなげていきましょう。
当社はWEB広告運用代行を行っています。新たなチャネルとしてTVer広告の導入を検討している方は、お気軽にご相談ください。
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この記事の参照元
総務省「令和4年版情報通信白書」第2部第3章