YouTube広告の種類を一覧で解説!目的別の選び方と費用も紹介します

企業のマーケティング担当者として、新しい広告手法を検討する中で「YouTube広告」が候補に挙がることは多いのではないでしょうか。しかし、一言でYouTube広告といってもその種類は多岐にわたり、どの広告を選べば良いのか迷ってしまう方も少なくありません。
自社の目的を達成するためには、各広告フォーマットの特徴を正しく理解し、戦略的に選択することが不可欠です。本記事では、YouTube広告の基本的な知識から、主要な6つの広告種類の詳細、目的別の選び方、そして広告配信の始め方まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
目次
- YouTube広告とは?
- YouTube広告を利用する4つのメリット
- 【一覧比較】YouTube広告の主な種類と特徴
- 目的別!最適なYouTube広告の選び方
- YouTube広告の課金形態と費用相場
- 成果を出すための動画制作のポイント
- YouTube広告の始め方・配信手順
- まとめ
YouTube広告とは?

YouTube広告とは、世界最大の動画プラットフォームであるYouTubeのサイト内や、提携するWebサイト、アプリ上で配信される動画広告のことです。動画コンテンツの再生前後や途中、または検索結果画面など、様々な場所に表示されます。テレビCMと異なり、年齢や性別、興味関心など、詳細なターゲティング設定が可能なため、狙ったユーザー層に効率的にアプローチできる点が大きな特徴です。低予算からでも始められる手軽さもあり、多くの企業がマーケティング活動に活用しています。
YouTube広告を利用する4つのメリット
YouTube広告には、他のWeb広告と比較しても優れたメリットが数多く存在します。ここでは、代表的な4つのメリットを紹介します。
圧倒的なユーザー数にリーチできる
YouTubeは国内だけでも月間7,000万人以上(2022年時点)のユーザーが利用する巨大なプラットフォームです。幅広い年齢層のユーザーが日常的に利用しているため、広告を配信することで、非常に多くの人々に自社の製品やサービスを認知してもらう機会を得られます。マス広告のような広範囲へのアプローチが可能です。
精度の高いターゲティングが可能
YouTube広告は、Googleが保有する膨大なデータを活用した高精度なターゲティングが魅力です。年齢、性別、地域といった基本的なユーザー属性に加え、ユーザーの興味関心や検索履歴、特定のWebサイトへの訪問履歴など、詳細な条件で配信対象を絞り込めます。これにより、自社の商品やサービスに関心を持つ可能性の高いユーザー層へ集中的に広告を届けられます。
目的や予算に応じて柔軟に配信できる
YouTube広告は、「認知度向上」「見込み顧客の獲得」「販売促進」といった多様なマーケティング目的に対応できるキャンペーン設定が用意されています。また、1日の予算や上限金額を自由に設定できるため、少額からでも広告出稿を始められます。広告の成果を見ながら予算を柔軟に調整できる点も、企業にとっては大きなメリットです。
詳細な効果測定で改善しやすい
広告の表示回数や再生回数、クリック数、コンバージョン数など、配信結果を詳細なデータで確認できる点もYouTube広告の強みです。どの広告クリエイティブが効果的だったのか、どのようなターゲット層からの反応が良かったのかを数値で分析できます。このデータに基づいて改善を繰り返す(PDCAサイクルを回す)ことで、広告効果を継続的に高めていくことが可能です。
【一覧比較】YouTube広告の主な種類と特徴

YouTube広告には複数のフォーマットがあり、それぞれに異なる特徴と最適な利用シーンがあります。ここでは主要な6種類の広告について、その概要を表にまとめました。
広告の種類 | 表示場所 | 課金形態 | 特徴 |
スキップ可能なインストリーム広告 | 動画の再生前後・再生中 | CPV | 5秒後にスキップ可能。30秒以上視聴されるか操作されると課金。 |
スキップ不可のインストリーム広告 | 動画の再生前後・再生中 | CPM | 15秒以下の動画を最後まで表示。スキップ不可。 |
インフィード動画広告 | 関連動画欄・検索結果 | CPC | サムネイルとテキストで表示。クリックされると課金。 |
バンパー広告 | 動画の再生前後・再生中 | CPM | 6秒以下の短い動画。スキップ不可。 |
アウトストリーム広告 | 提携サイト・アプリ | CPM | YouTube外で配信されるモバイル専用広告。 |
マストヘッド広告 | YouTubeホーム画面最上部 | CPM/CPD | 短期間で大規模なリーチが可能。予約制。 |
スキップ可能なインストリーム広告
動画コンテンツの再生前後や途中に表示される広告で、再生開始から5秒が経過するとユーザーが広告をスキップできるようになります。最大のメリットは、広告に興味がないユーザーはスキップするため、無駄な広告費が発生しにくい点です。課金は、ユーザーが動画を30秒間(30秒未満の動画の場合は最後まで)視聴した場合、または動画を操作(クリックなど)した場合にのみ発生します。そのため、商品やサービスへの関心が高いユーザーに、じっくりと情報を伝えたい場合に適しています。
スキップ不可のインストリーム広告
ユーザーがスキップできない、最大15秒間の動画広告です。動画の再生前後や途中に強制的に表示されるため、伝えたいメッセージを確実に最後まで見てもらえるという強みがあります。ただし、ユーザーにとっては視聴を妨げられる形になるため、ネガティブな印象を与えないよう、クリエイティブの内容には工夫が必要です。ブランドのメッセージを簡潔かつ強力に伝えたい場合に効果的です。
インフィード動画広告
YouTubeの関連動画一覧や検索結果、モバイルアプリのホームフィードなどに、動画のサムネイル画像とテキストで表示される広告です。ユーザーがそのサムネイルをクリックすることで初めて動画が再生されます。ユーザー自らの能動的なアクションによって視聴が開始されるため、広告に対する受容性が高く、商品やサービスへの関心が既にあるユーザー層へのアプローチに適しています。
バンパー広告
動画の再生前後や途中に挿入される、6秒以下の非常に短いスキップ不可の広告です。短時間でインパクトのあるメッセージを繰り返し伝えることで、ブランドや商品の認知度向上、リマインド効果が期待できます。ユーザーへの負担が少なく、簡潔なメッセージを広範囲に届けたい場合に最適なフォーマットです。
アウトストリーム広告
YouTubeのサイト内ではなく、Googleの動画パートナーとなっているWebサイトやアプリの広告枠に配信される、モバイル専用の広告です。最初は音声なしで再生され、ユーザーがタップすることで音声がオンになります。YouTubeを普段利用しないユーザー層にもリーチを広げたい場合に有効な手段となります。
マストヘッド広告
YouTubeのホーム画面の最も目立つ最上部に表示される広告フォーマットです。短期間で非常に多くのユーザーに広告を見せることができるため、新商品の発売や大規模なキャンペーンの告知など、最大限のリーチを獲得したい場合に利用されます。広告枠は予約制で購入する必要があり、他の広告フォーマットに比べて費用は高額になります。
目的別!最適なYouTube広告の選び方

自社のマーケティング目的を明確にすることで、数ある広告種類の中から最適なものを選ぶことができます。ここでは、主な3つの目的別におすすめの広告フォーマットを紹介します。
広く認知度を高めたい場合
新しいブランドや商品を多くの人に知ってもらうことが目的であれば、広範囲のユーザーにメッセージを届けられる広告が適しています。具体的には、短いメッセージを確実に伝えられる「スキップ不可のインストリーム広告」や「バンパー広告」が効果的です。また、大規模なリーチを狙うなら「マストヘッド広告」も強力な選択肢となります。これらの広告でユーザーとの接触回数を増やし、ブランドの記憶を定着させましょう。
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商品やサービスを比較検討してほしい場合
ユーザーに商品の特徴や魅力を深く理解してもらい、他社製品との比較検討の候補に入れてもらう段階では、より詳細な情報を提供できる広告が有効です。ユーザーが自ら興味を持って視聴する「インフィード動画広告」は、関心度の高いユーザーに響きやすいです。また、「スキップ可能なインストリーム広告」も、最初の5秒で興味を引くことができれば、長い時間をかけて商品のベネフィットを伝えることが可能です。
購入や問い合わせを促進したい場合
Webサイトへの訪問や商品の購入、資料請求といった具体的なアクション(コンバージョン)を促すことが目的の場合には、ユーザーの行動を直接的に後押しする機能が重要になります。動画内にクリック可能なリンク(CTAボタン)を設置できる「スキップ可能なインストリーム広告」は、視聴者を直接ランディングページへ誘導できるため、コンバージョン獲得に繋がりやすいです。
他にも、目的に合わせて最適な組み合わせも多数あるため、弊社のようなプロに一度ご相談いただくのも良いと思います。
YouTube広告の課金形態と費用相場

YouTube広告の費用は、広告の種類によって異なる課金方式で決まります。自社の予算に合わせて適切な広告を選ぶためにも、それぞれの仕組みを理解しておきましょう。
視聴課金(CPV)の仕組み
CPVは「Cost Per View」の略で、広告が1回視聴されるごとに費用が発生する方式です。「スキップ可能なインストリーム広告」で採用されており、ユーザーが動画を30秒間(30秒未満の場合は最後まで)視聴するか、動画を操作した場合に課金されます。1視聴あたりの費用相場は2円~30円程度ですが、業界やターゲティング設定によって変動します。広告に興味を持ったユーザーのアクションに対してのみ費用が発生するため、コストパフォーマンスが高い課金方式です。
インプレッション課金(CPM)の仕組み
CPMは「Cost Per Mille」の略で、広告が1,000回表示されるごとに費用が発生する方式です。「スキップ不可のインストリーム広告」や「バンパー広告」で利用されます。1,000回表示あたりの費用相場は400円~600円程度が目安です。視聴時間に関わらず表示回数で課金されるため、とにかく多くのユーザーに広告を見せたい認知度向上の目的で活用されます。
クリック課金(CPC)の仕組み
CPCは「Cost Per Click」の略で、広告が1回クリックされるごとに費用が発生します。「インフィード動画広告」で採用されている方式です。ユーザーが広告をクリックして動画を視聴した場合にのみ費用が発生するため、関心度の高いユーザーからのアクセスを効率的に集めることができます。1クリックあたりの費用相場は3円~20円程度です。
広告費用の目安と決め方
YouTube広告は最低出稿金額が定められていないため、1日1,000円といった少額からでも始めることが可能です。多くの企業は月額10万円~50万円程度の予算で運用を開始し、効果を見ながら調整しています。予算を決める際は、まず広告出稿の目的(例:1件の資料請求を獲得するために5,000円までかけられる)から逆算して目標コンバージョン単価(CPA)を定め、そこから全体の予算を算出する方法が一般的です。
成果を出すための動画制作のポイント

YouTube広告の成果は、配信設定だけでなく、広告クリエイティブの質に大きく左右されます。ここでは、ユーザーの心をつかみ、成果につながる動画を制作するための3つの重要なポイントを解説します。
最初の5秒でユーザーを引き込む
特にスキップ可能なインストリーム広告では、最初の5秒間でユーザーの興味を引けるかどうかが勝負です。この5秒間で「この広告は自分に関係がある」「続きが気になる」と思わせる必要があります。結論を先に伝えたり、インパクトのある映像や問いかけから始めたりするなど、ユーザーがスキップボタンを押す前に注意を引きつける工夫を凝らしましょう。
ターゲットに合わせたメッセージを伝える
広告を届けたいターゲット層(ペルソナ)を明確に設定し、その人たちの悩みや関心事に寄り添ったメッセージを伝えることが重要です。ターゲットが共感できるようなストーリーや、抱えている課題を解決できるベネフィットを提示することで、広告はただの宣伝ではなく、価値ある情報として受け入れられやすくなります。
行動を促す明確なCTAを設置する
動画の最後には、ユーザーに次に何をしてほしいのかを明確に伝えましょう。「詳しくはこちらをクリック」「無料サンプルを申し込む」といった具体的な行動喚起(CTA:Call To Action)を、音声やテキスト、クリック可能なボタンで示すことが大切です。ユーザーが次にとるべきアクションを迷わせないことで、Webサイトへの遷移率やコンバージョン率の向上につながります。
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YouTube広告の始め方・配信手順

YouTube広告の配信は、Google広告の管理画面から行います。以下の手順に沿って設定を進めれば、初心者の方でも広告を配信できます。
手順1:広告動画をYouTubeにアップロード
まず、広告として使用する動画ファイルを、自社のYouTubeチャンネルにアップロードします。この際、動画の公開設定は「限定公開」にしておくのが一般的です。これにより、チャンネル上には表示されず、広告配信でのみ動画が再生されるようになります。
手順2:Google広告アカウントと連携
YouTube広告を配信するためには、Google広告のアカウントが必要です。まだ持っていない場合は作成しましょう。その後、広告配信を行うYouTubeチャンネルとGoogle広告アカウントを連携させます。これにより、広告のパフォーマンスデータをより詳細に分析できるようになります。
手順3:キャンペーンの目標を設定
Google広告の管理画面で、新しいキャンペーンを作成します。最初に「販売促進」や「ブランド認知度とリーチ」など、広告配信の目的を選択します。ここで選んだ目的に応じて、最適なキャンペーンタイプや入札戦略が推奨されます。
手順4:予算と配信スケジュールを決定
次に、1日あたりに消化する平均予算や、キャンペーン全体の総予算を設定します。広告を配信する期間(開始日と終了日)もここで決定します。予算はいつでも変更可能なので、まずは少額から試してみるのがおすすめです。
手順5:ターゲットを設定
広告を配信したいユーザーの地域、言語、年齢、性別、興味関心などを設定します。ターゲットを詳細に設定するほど、広告の費用対効果は高まりますが、リーチできる範囲は狭まります。目的と予算のバランスを考えながら、最適なターゲット層を絞り込みましょう。
手順6:広告を配信
最後に、手順1でアップロードした動画を選択し、広告見出しや最終的なリンク先URLなどを設定します。すべての設定が完了したら、キャンペーンを保存して配信を開始します。広告はGoogleによる審査を経て、承認されると配信が始まります。
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まとめ

本記事では、YouTube広告の主要な6つの種類とそれぞれの特徴、目的別の選び方について解説しました。YouTube広告は種類が豊富で、それぞれに得意な役割があります。自社のマーケティング目標を達成するためには、各広告フォーマットを正しく理解し、戦略的に使い分けることが成功の鍵となります。
この記事を参考に、自社に最適なYouTube広告の種類を見つけ、効果的な動画マーケティングを始めてみてください。