YouTubeで本当に見るべきKPIはこの5つだけ
こんにちは
朝日放送グループコンテンツマーケターの藤田謙太郎です。
YouTubeチャンネルを運用し、再生回数と登録者数を伸ばしたいという企業は多いはずです。
当社もYouTubeに関するウェビナーは何回も実施しましたが、必ず質問に挙がるのが「YouTubeのKPIは何を見れば良いですか?」という内容です。
確かにネットで検索すると、良くも悪くも非常に様々な切り口の情報が溢れています。もし私がYouTube初心者だったら皆さんと同じように迷ってしまうと思いました。
今回は、そんな迷っている皆さんに「YouTubeで本当に見るべきKPIはこの5つだけ」、それ以外は無視してOKです、という内容をお届けします。
KPIその1:インプレッション数
インプレッション数というのは、すごく乱暴に解説しますと、その動画のサムネイルがYouTube上で何回表示されたのか?という数字です。表示される個所は様々です。
「どれぐらいのインプレッション数だと良いですか?」という質問をよく頂戴しますが、その答えは「その動画で扱っているテーマ」に因ります。
5000回のインプレッションで良いのものもあれば、5000回では全然足りないというものもあります。
ただ、1つだけこのブログでお伝えできる事は、いかなるテーマであれ、もし平均インプレッション数が3000回を切っているようでしたら、早急にテコ入れが必要ですので、手遅れになる前に当社に相談下さい。
インプ数が3000回を切っているのに、動画の中身とか演出にこだわっている場合じゃありません。
インプレッション数を伸ばす為のテコ入れの方法はいくつかありますが、最も大きな処方箋は「各動画の企画内容を再考する」です。例えば、キャンプ用のテントに関する紹介動画があったとします。それでインプ数が3000回を切っているのであれば、ただ単にテントを紹介するのではなく、テントのどういう点(価格?設営方法?収納方法?メーカー別の比較?)を紹介する動画が再生回数が伸びているのかを調べたり、もっと言えば、テントという括りそのものが厳しいのであれば、「キャンプで快適に過ごすためのノウハウ」とかもう少しテーマを広めに設定する等です。
要は魚が少ししか泳いでいない釣り堀にいくら釣り糸を垂れても無駄という事です。
どの釣り堀で勝負するかという企画部分で、YouTubeは最初の勝負がほぼ決まってしまいます。
KPIその2:サムネイルのクリック率
これはYouTube上で表示されたサムネイルがどれぐらいの割合でクリックされたのか?という数値です。
インプレッション数がYouTube上でサムネイルが表示された数なので、その次の段階(そのサムネイルがどれぐらクリックされたか?)です。
このクリック率、ネットで検索すると「5%ぐらいが平均数値、でも10%を目指しましょう」なんて記事が結構多いです。
この10%という目標数値を目指して必死にサムネイルの試行錯誤をしている人も多いと思います。
ただ、多くのYouTubeチャンネルを運用した経験のある私から言わせてもらうと「10%を無理に目指す必要は全くありません」。
それよりも、サムネイル制作でもっと大切な事は以下です。
絶対にクリック率が5%を切らないサムネイルを作ること
サムネイルで大切なのは、恒常的に5%を切らない事です。そりゃ、10%に到達できれば良いですが仮に到達できなかったとしても、それよりももっと気にしないといけない事があります。それを次の項目以降に記載します。YouTube運用を実際に自分でやった事の無い「自称専門家」がクリック率10%を目指しましょうと言っているネット記事も見かけますが、本当にチャンネル運用を何本もした事がある人なら、その目標を目指すよりも大事な事があるという点を知っています。
実際の動画内容とあまりに解離のあるサムネイルを作らないこと
サムネイルでクリック率10%を獲得するために、動画内容と乖離したサムネイルを作っている人がいます。いわゆる「釣りサムネ」に近いものであったり、オーバー過ぎる誇張表現等のサムネイルです。これらは仮にクリック率が10%を超えたとしても、そのチャンネルの動画を最後まで見て、チャンネル登録してもらえるでしょうか?もし皆さんが逆の立場なら「嘘つき」と一瞬で信頼を失って終わりだと思います。この「信頼を失う」というリスクの方がYouTubeでは避けなければいけません。このリスクに比べたら、クリック率10%を目指すとかは正直どうでも良い目標です。
デザインフォーマットがバラバラのサムネイルを作らないこと
デザインフォーマットというのは2つの意味があります。
1つめは文字通りの「デザイン」です。要は「この感じのサムネイルはこのチャンネルの動画」だと一発で認識してもらえるデザインかどうか、です。登録者数の多いYouTubeチャンネルのトップページを見てみて下さい、統一感のあるデザインをサムネイルに意図的に施している事が分かります。
2つめは「世界観の統一」です。世界観というと小難しくなるのですが、要はそのチャンネルに出てくる写真、人物、喋っている内容とかそれらを含めて「視聴者にこんな感じのチャンネルだと思って欲しい」という雰囲気に合ったサムネイルを作らないとダメという事です。
KPIその3:平均視聴時間
これはそのまんまの意味で、この動画を見た人が平均してどれぐらいの長さ、動画を視聴していたのか?という数値です。似た数値で「平均再生率」という数字があります(視聴維持率や視聴率ともいいます)。平均再生率は、その動画全体の時間が分母で、実際に見られた時間が分子の数値です。つまり動画全体の何%まで視聴されたか?を表します。
ネットを見ると、この「平均再生率」「視聴維持率」はKPIとして重要だという意見が結構多い事に気づくと思います。確かに「視聴率」という言葉が付いていれば、テレビのそれと似た印象を持ち、YouTubeでも最重要指標だと勘違いしてしまう事も無理はありません。
ただ、これも私の経験上ですが、この「平均再生率」「視聴維持率」(視聴率)」は無視しろとまでは言いませんが、ほどほどに見る程度で良いです。私がこの指標をあまり重要視しない理由は明白です。この数値は、動画全体の時間という分母によって上下動をめちゃくちゃするからです。
極端な話、3分の動画を2分見られたら視聴維持率67%です。13分の動画を2分見られたら視聴維持率15%です。これぐらい、わけのわからない上下動をする数値です。
それから皆さんに質問です。皆さんがYouTubeの動画を視聴する際に、この動画は全体で何分の尺があるとかイチイチ見ますでしょうか?多分見ないと思います。
何を言いたいのかというと、「この動画はたった3分だから頑張って最後までみよう」とか「この動画は30分あるから最初の数分だけ見よう」とか、そんな判断を多くの人はしていないという事です。
つまり、動画全体の長さを知らずに多くの人が視聴するとするならば、結局のところ、動画を見てからその人がどれだけ長く見ていたか?が「その動画がどれだけ面白かったか?」を一番表していると思いませんか?
そしてその指標(動画を見てからその人がどれだけ長く見ていたか?)が平均視聴時間なのです。
これは多くのYouTubeチャンネルを運用してきた私の経験上ですが、この平均視聴時間が5分を切ってしまっている動画は、構成そのものを一旦白紙にして全て見直した方が良いです、それぐらい悪い意味で危険な数値です。
平均視聴時間は、7~8分あればまずまずで、10分を越えていると優秀だと思います。
KPIその4:離脱率(当社独自指標)
これは当社が独自でチェックしているKPIの1つです。
YouTubeアナリティクスで各動画の分析ページを見てみると「開始30秒後に何%の人が残っていたか?」という数値を見る事ができます。これは折れ線グラフの下に「●% の視聴者が 0:30 のマーク付近まで視聴を続けました。これは通常とほぼ同じです。詳しくは、他の動画との比較をご覧ください。」等の表記が出ていて確認できます。
もう1つ、この折れ線グラフの一番右にマウスを合わせると、動画終了時に何%の人が残っていたか?という数値も見る事ができます。
この「開始30秒後に残っていた割合 ― 動画終了時に残っていた割合」を、その動画の「離脱率」と呼んで、当社はいつもチェックしています。
この離脱率が40ポイントを超えると、ちょっと危険水準ですので、大至急、動画構成の見直しが必要です。
30ポイント台なら次第点、20ポイント台なら、かなり優秀です。
KPIその5:チャンネル登録率(当社独自指標)
これは1本の動画を見て、どれだけの人がチャンネル登録してくれたか?という数値です。算出数式は、その動画でチャンネル登録してくれた数÷再生回数です。
先に申し上げますと、この「チャンネル登録率」を気にしなくてもよいチャンネルもあります。それは例えば「結婚式」とか「沖縄旅行だけ」等のチャンネルです。要は、人生において「知りたい時が限定的」なコンテンツを提供しているチャンネルです。これらは「その動画を見て知りたい事を解決したい」という一期一会の人たちがメインターゲットですので、チャンネル登録を狙うということは、いささか生活者の心理に反するためです。それよりも1度動画を見て確実にLINE登録してもらうとか、そちらを意識した方が良いです。
お話を戻しますと、このチャンネル登録率ですが、当然多い方が好ましいです。
チャンネル登録率が1%を切っているチャンネルは、動画そのものというよりは、チャンネルの設計から至急見直す必要があります。特に再生回数が1000回を超えているのに、チャンネル登録率が1%を切っているチャンネルは早めに手を打たないと手遅れになります。2%あればまずまず、3%あれば良いチャンネルです。
YouTubeチャンネルを本気で伸ばそうと思えば、ハッシュタグをこうしたら良いとか、そういう小手先の事ではなく、動画そのものの企画や構成を何とかしないと勝負にすらなりません。
今回の5つのKPIを一度チェックいただき、危険水準になっているものがあれば、一度当社にこちらからご相談下さい。