ブランディング動画とは?制作のメリットや成功事例、費用相場を解説します

企業の価値を伝え、視聴者の心に深く響く「ブランディング動画」。多くの企業がその効果に注目していますが、「何から始めれば良いかわからない」「広告動画と何が違うの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ブランディング動画の基本的な知識から、制作のメリット・デメリット、具体的な作り方の手順、そして成功事例まで、網羅的に解説します。この記事を読めば、ブランディング動画制作の全体像を理解し、成功への第一歩を踏み出すことができるでしょう。
目次
- ブランディング動画は企業の価値を高める映像施策
- ブランディング動画を制作する3つのメリット
- ブランディング動画制作で注意すべきデメリット
- ブランディング動画の作り方6手順
- 成功するブランディング動画の共通ポイント
- 参考になるブランディング動画の成功事例
- ブランディング動画の費用相場と内訳
- 失敗しないブランディング動画制作会社の選び方
- まとめ
ブランディング動画は企業の価値を高める映像施策

ブランディング動画とは、企業や製品、サービスのブランドイメージを構築・向上させることを目的とした映像コンテンツです。単に商品の機能を説明するのではなく、企業の理念や世界観、ストーリーを伝えることで視聴者の共感や信頼を獲得し、長期的なファンになってもらうことを目指します。
動画の目的はブランドイメージの構築
ブランディング動画の最も重要な役割は、視聴者の心の中に「この企業はこういう価値観を持っている」「この製品を使うとこんな素敵な体験ができる」といったポジティブなイメージを形成することです。価格や機能といった物理的な価値だけでなく、情緒的な価値を伝えることで、競合他社との差別化を図り、顧客に選ばれる理由を創出します。
サービス紹介動画やCMとの違い
ブランディング動画としばしば混同されるのが、サービス紹介動画やテレビCMなどの広告動画です。これらの動画との最も大きな違いは「目的」にあります。サービス紹介動画や広告動画が「購入」や「問い合わせ」といった短期的なアクションを促すことを主な目的とするのに対し、ブランディング動画は長期的な視点で企業やブランドへの「共感」や「信頼」を育むことを目的とします。
目的 | 主な内容 | 期待する効果 | |
ブランディング動画 | 長期的なファン育成信頼構築 | 企業の理念世界観ストーリー | ブランドイメージ向上ロイヤリティ向上 |
サービス紹介動画 | 商品・サービスの理解促進 | 機能特徴利用メリット | 比較検討理解度向上 |
広告動画(CMなど) | 短期的な販売促進コンバージョン | キャンペーン情報限定オファー | 購入問い合わせ申し込み |
このように、それぞれの動画は目的が異なるため、構成や表現方法も大きく変わってきます。
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ブランディング動画を制作する3つのメリット

ブランディング動画を制作することは、企業にとって多くのメリットをもたらします。ここでは、代表的な3つのメリットについて解説します。
企業や製品のイメージの向上
動画は、テキストや静止画に比べて圧倒的に多くの情報を短時間で伝えられます。映像、音楽、ナレーションなどを組み合わせることで、企業の持つ独自の雰囲気や世界観を直感的に伝え、視聴者の感情に訴えかけることが可能です。これにより、ポジティブなブランドイメージを効率的に構築し、企業の信頼性向上にも繋がります。
潜在的な顧客層へアプローチできる
ブランディング動画は、ストーリー性が高く共感を呼びやすい内容が多いため、SNSなどで拡散されやすいという特徴があります。視聴者が「面白い」「感動した」と感じた動画は、自発的にシェアされる可能性が高まります。これにより、広告費をかけずとも幅広い層に情報を届けることができるため、これまで接点のなかった潜在的な顧客層にアプローチするきっかけになります。
従業員のエンゲージメントを高める
ブランディングは、社外の顧客だけでなく、社内の従業員に対しても重要な役割を果たします。これを「インナーブランディング」と呼びます。自社の理念やビジョンを映像化し、従業員に共有することで、自社への誇りや仕事へのモチベーションを高められます。従業員一人ひとりが自社のブランド価値を深く理解し、共感することで、組織としての一体感が醸成され、より良いサービス提供にも繋がります。
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ブランディング動画制作で注意すべきデメリット

多くのメリットがある一方で、ブランディング動画の制作には注意すべき点も存在します。事前にデメリットを理解しておくことで、対策を講じることができます。
制作にコストと時間がかかる
クオリティの高いブランディング動画を制作するには、専門的な知識や技術が必要になります。企画構成から撮影、編集、音響効果まで、多くの工程を経るため、相応の費用と時間がかかってしまいます。特に、実写撮影でキャストを起用したり、CGを多用したりする場合は、よりコストが大きくなる傾向があります。内製で全てをまかなうのは難しく、プロの制作会社への依頼が必要となるケースが多くみられます。
直接的な効果測定が難しい
販売促進を目的とした広告動画とは異なり、ブランディング動画は「イメージ向上」や「共感の獲得」といった抽象的な成果を目指すため、効果を具体的な数値で測定することが難しいという側面があります。再生回数や視聴維持率などの指標はありますが、それが直接的にどれだけのブランド価値向上に繋がったかを正確に測るのは非常に困難です。そのため、長期的な視点を持ち、短期的なROI(投資収益率)だけを求めない姿勢が重要になります。
ブランディング動画の作り方6手順

効果的なブランディング動画を制作するためには、戦略的なアプローチが不可欠です。ここでは、制作の基本的な流れを6つの手順に分けて解説します。
手順1:動画を制作する目的とターゲットを明確にする
まず最初に、「誰に」「何を伝え」「どうなってほしいのか」を明確に定義します。例えば、「20代の若年層に、環境問題への取り組みを伝え、企業の先進的なイメージを持ってもらいたい」のように、ターゲットとゴールを具体的に設定することが、後の工程の軸となります。
手順2:伝えたいメッセージと動画の構成案を作成する
目的とターゲットが定まったら、動画で伝えるべき中心的なメッセージ(コンセプト)を決めます。そのコンセプトを最も効果的に伝えるためのストーリーやシナリオを考え、構成案を作成します。この段階で、動画全体の流れや伝えたい情報の優先順位を整理しておきましょう。
手順3:撮影またはアニメーション素材を準備する
構成案に基づき、実写撮影やアニメーション制作、あるいはストック素材の収集など、映像素材を準備します。実写の場合は、ロケーションやキャスト、機材の選定などが必要になります。アニメーションの場合は、イラストのテイストや動きのイメージを固めていきます。
手順4:動画編集を行い最終的な形にする
収集・制作した映像素材を、構成案に沿って繋ぎ合わせていきます。カット編集だけでなく、テロップ(字幕)の挿入、BGMや効果音の追加、ナレーションの収録などを行い、動画を完成させていきます。視聴者を飽きさせないテンポや、メッセージが最も伝わる演出を工夫することが求められます。
手順5:完成した動画をWebサイトやSNSで公開する
完成した動画は、ターゲットとなるユーザーが最も目にする可能性の高いプラットフォームで公開します。自社のWebサイトやYouTubeチャンネル、X(旧Twitter)、Instagramなど、目的に合わせて最適な媒体を選定し、配信します。
手順6:公開後の効果を測定し改善につなげる
動画を公開した後は、再生回数や視聴維持率、コメント、SNSでのシェア数などのデータを分析し、効果を測定します。視聴者の反応を分析することで、次回の動画制作に向けた改善点や新たなインサイト(洞察や発見)を得ることができます。ブランディングは継続的な活動であるため、このPDCAサイクルを回していくことが成功の鍵となります。
【参考】動画プロモーションの進め方を徹底解説!費用相場から成功のコツまで紹介します | 朝日放送グループがSNS支援、動画支援「ASAHIメソッド」
成功するブランディング動画の共通ポイント

数多くのブランディング動画が存在する中で、特に視聴者の心を掴み、成功を収めている動画にはいくつかの共通点があります。
視聴者が共感できるストーリー性
単なる企業紹介や製品説明に終始するのではなく、視聴者が自分事として捉えられるようなストーリーを描くことが重要です。主人公が困難を乗り越える物語や、日常の中の小さな幸せを描いた物語など、人の感情に寄り添うストーリーは、視聴者の深い共感を呼び、ブランドへの好意的な感情を育みます。
企業の独自の価値観や世界観の表現
他社にはない、その企業ならではの哲学や価値観、そして独特の世界観を一貫して表現することが、強力なブランドイメージを築く上で不可欠です。映像の色調、音楽の選曲、テロップのフォントに至るまで、細部にわたってブランドイメージを統一することで、視聴者に「〇〇社らしさ」を強く印象付けることができます。
メッセージに一貫性がある
動画単体で完結させるのではなく、Webサイトや他の広告、SNSでの発信など、すべてのマーケティング活動においてメッセージに一貫性を持たせることが大切です。どのチャネルに触れても同じブランドイメージが伝わるようにすることで、ユーザーのブランド理解が深まり、信頼関係がより強固になります。
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参考になるブランディング動画の成功事例

ここでは、実際に優れたブランディング効果を上げた企業の動画事例を3つ紹介します。
【BtoC向け】P&Gの事例
P&Gがオリンピックのスポンサーとして公開した「Best Job(母の愛)」という動画は、ブランディング動画の代表的な成功事例です。この動画は、オリンピック選手とその母親の絆を描いており、製品については一切触れていません。しかし、「選手の活躍を支える母親を応援する」というメッセージを通して、P&Gが「母親を支えるブランド」であることを視聴者に強く印象付け、世界中の母親からの共感と支持を集めました。
【参考】 P&G 企業CM 第1弾「Best Job(母の愛)」
【BtoB向け】関西電気保安協会の事例
BtoB企業でありながら、ユニークなCMで高い知名度を誇るのが関西電気保安協会です。お笑い芸人を起用したコミカルな動画は、一見すると事業内容とは関係ないように思えますが、「電気保安」という専門的で少し堅いイメージのサービスを、親しみやすく身近な存在として認知させることに成功しています。企業のキャラクターを確立し、継続的に発信することで地域に愛されるブランドを築いた好例です。
【参考】【総集編】関西電気保安協会ゲームシリーズ | 関西電気保安協会【公式】
【採用向け】トゥモローゲートの事例
大阪のブランディング会社であるトゥモローゲートは、越のゆグループという企業において「スーツでお風呂に入る社長」が登場する奇抜な採用動画を作成し話題を集めました。「業界の常識を変える」という企業の強い意志をインパクトのある映像で表現し、地方の企業でありながら都心の学生からも多くのエントリーを集めることに成功しました。採用活動において、企業の姿勢やカルチャーを伝え、求める人材にアプローチした採用ブランディングの成功事例です。
ブランディング動画の費用相場と内訳

ブランディング動画の制作を外部に依頼する場合、費用は動画のクオリティや内容によって大きく変動します。
動画制作にかかる費用の内訳
動画制作の費用は、主に以下の項目で構成されます。それぞれの工程にどれだけのリソースを投入するかで、全体の費用が変わってきます。
費用の種類 | 内容 |
企画費 | 構成案やシナリオの作成スケジュール管理など |
人件費 | プロデューサーディレクターカメラマン編集者演者など |
撮影機材費 | カメラ照明音声機材など |
編集費 | カット編集テロップBGMナレーションなど(CGやアニメーションを追加する場合は別途費用が発生) |
諸経費 | スタジオ利用料ロケーション費用交通費美術費など |
制作会社に依頼する場合の費用相場
依頼する内容によって費用は大きく異なりますが、一般的な相場観は以下の通りです。
- 10万円~80万円:インタビューや簡単なアニメーションが中心のシンプルな構成。撮影が1日で終わるような小規模なものが該当します。
- 80万円~300万円:オリジナルのシナリオに基づいたストーリー性のある動画や、複数の場所でのロケーション撮影、少し凝ったCG演出などが含まれる場合の相場です。
- 300万円以上:有名なタレントの起用、大規模な撮影、高度な特殊効果(VFX)などを用いるテレビCMレベルのクオリティを求める場合の費用です。
あくまで目安であり、実現したい内容によって費用は変動するため、複数の制作会社から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
【関連記事】動画プロモーションの進め方を徹底解説!費用相場から成功のコツまで紹介します | 朝日放送グループがSNS支援、動画支援「ASAHIメソッド」
失敗しないブランディング動画制作会社の選び方

ブランディング動画の成否は、パートナーとなる制作会社選びにかかっていると言っても過言ではありません。以下の3つのポイントを意識して、最適な会社を選びましょう。
自社の目的に合った制作実績があるか確認する
制作会社のウェブサイトで、過去の制作実績を確認しましょう。特に、自社が属する業界や、作ろうとしている動画のテイスト(例:感動系、ユーモア系など)に近い実績が豊富にあるかどうかが重要な判断基準になります。実績を見ることで、その会社の得意な表現やクオリティを把握することができます。
企画力や提案内容が優れているか評価する
単にこちらの要望通りに制作するだけでなく、ブランドの価値を深く理解し、より効果的な動画にするための企画提案をしてくれる会社を選びましょう。最初のヒアリングの際に、自社の課題や目的を丁寧に聞き出し、的確な提案をしてくれるかどうかが見極めのポイントです。
円滑なコミュニケーションが取れるか見極める
動画制作は、依頼主と制作会社が密に連携を取りながら進めていくプロジェクトです。担当者との相性や、レスポンスの速さ、コミュニケーションの丁寧さも非常に重要です。制作過程で認識の齟齬が生まれないよう、円滑なコミュニケーションが取れるパートナーを選びましょう。
まとめ

ブランディング動画は、企業の価値を伝え、顧客との長期的な関係を築くための強力なツールです。制作にはコストと時間がかかりますが、そのメリットは大きく、企業の持続的な成長に不可欠な投資と言えるでしょう。本記事で紹介した作り方の手順や成功のポイントを参考に、ぜひ自社の魅力を最大限に引き出すブランディング動画の制作に挑戦してみてください。
無料相談も行っております。
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