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想定導入事例

「展示会では名刺が集まるのに商談化しない」BtoB部品メーカーが技術相談を増やした改善事例

※本記事は想定シミュレーションです。数値は仮設定です。

藤田 謙太郎

この記事の著者

藤田 謙太郎

コンテンツマーケター

SNSマーケティング事業を10年以上行ってきた経験を持つ、実践派コンテンツマーケター。 机上の空論や流行の理論にとらわれず、現場で培った圧倒的な「場数」に基づく支援が強み。 朝日放送にジョインしてからは、クライアントの課題に寄り添い、 本当に成果につながる実践的な戦略立案から実行までをトータルでサポート。

■ 企業概要

愛知県刈谷市で自動車・産業機械向けの精密切削部品を製造するBtoBメーカー。従業員は74名、創業42年。加工精度±5μmの小ロット試作に強みがあり、展示会では毎回300〜450枚の名刺を獲得していた。ところが、展示会後3ヶ月以内に技術相談へ進む件数は平均7件前後。新規問い合わせの多くは「見積もりだけ欲しい」という価格比較で、設計段階から相談される案件は少なかった。

営業部では「展示会のブース装飾をもっと派手にする」「パンフレットを刷新する」という案も出ていた。しかし株式会社デジアサで導線を確認すると、同社の強みは展示会場では伝わっていたが、設計者が社内で検討する段階に戻った瞬間、比較対象の1社に埋もれてしまっていた。

■ 本当の課題

株式会社デジアサで展示会後のメール開封、サイト閲覧、営業ヒアリングを確認すると、設計者はすぐに発注先を探しているわけではなかった。彼らが本当に知りたかったのは「この形状は削れるのか」「量産前の試作でどこまで相談できるのか」「図面が固まっていない状態でも話してよいのか」だった。

当時のWebサイトは設備一覧と加工実績写真が中心だった。マシニングセンタの台数、対応材質、表面処理の説明はあるが、設計者が抱える“図面前の迷い”に答える情報が少なかった。つまり、同社は加工会社としてのスペックは伝えていたが、設計初期から頼れる技術相談先には見えていなかったのである。

■ 実施した改善施策

株式会社デジアサでは、まず問い合わせを「見積依頼」「図面相談」「VA/VE相談」「試作前相談」の4種類に分けた。そのうえで、展示会後に全員へ同じお礼メールを送るのではなく、名刺交換時の会話内容に合わせて送るコンテンツを変えた。

Webサイトには「図面が固まる前に相談される加工事例」というページを新設した。例えば、肉薄部品のビビり対策、アルミからステンレスへ材質変更した時の注意点、量産時にコストが上がりやすい形状など、設計者が検索しそうなテーマで記事と短い解説動画を作成した。動画では工場長が実物の治具を見せながら、なぜその加工順序にするのかを説明した。

広告では「切削加工できます」ではなく、「その図面、量産前に加工コストを下げられるかもしれません」という訴求へ変更した。LPも設備紹介ではなく、相談できるタイミングを明確にした。『2D図面だけ』『3Dデータだけ』『材質未定』『量産数未定』の状態でも相談可能と記載し、設計者が問い合わせしやすい入口を作った。

■ 改善後の変化

改善開始から7ヶ月後、月間の技術相談件数は平均7件から22件へ増加した。展示会後90日以内の商談化率は11%から29%へ改善。特に、図面確定前の相談が増えたことで、価格競争になりにくい案件の比率が高まった。

サイト上では、設備一覧ページよりも「加工で失敗しやすい形状」や「試作段階で確認すべき公差」の記事がよく読まれるようになった。営業担当からも「初回商談で、相手がすでに当社の考え方を理解している状態で話せるようになった」という声が出た。

■ さらに行った細かな改善

さらに行ったのは、営業資料の順番変更だった。以前は会社概要、設備、加工実績、納期の順番だったが、改善後は最初に「設計段階でよく起きる失敗」を提示した。穴位置の公差、薄肉加工、バリ処理、表面粗さ、量産時の治具費など、設計者が後から困りやすい項目を先に見せた。

問い合わせフォームも見直した。従来は会社名と連絡先、添付ファイルだけだったが、改善後は「図面の完成度」「相談したい工程」「予定数量」「困っている点」を選べるようにした。これにより、営業が初回返信時から技術者を同席させるべきか判断できるようになった。

特に『展示会では名刺が集まるのに商談化しない』という課題を解くため、現場スタッフから実際の質問を集め、サイト上の文言に反映した。抽象的な強みではなく、検討者が問い合わせ前に迷う言葉をそのまま見出しにしたことで、自分事化されやすくなった。

特に製造業では、問い合わせ前に「図面を出すと営業されるのではないか」という心理もあったため、匿名相談用の入力項目も用意した。材質、想定ロット、困っている加工部位だけを入力すれば、正式見積もり前に技術コメントがもらえる設計にした。これにより、まだ発注先選定前の設計者でも接点を持ちやすくなった。

さらに、営業メールでは展示会で話した内容をそのまま一行目に入れるルールを作った。「薄肉ケースの歪みでお困りとのこと」「アルミからSUSへの材質変更をご検討とのこと」のように個別化し、その悩みに近い記事へ誘導した。これにより、展示会後の一斉配信感が薄れ、再訪率が高まった。

■ 株式会社デジアサだからできたこと

株式会社デジアサだからできたことは、同社の技術を“スペックの羅列”ではなく“相談したくなる文脈”へ変換できた点だった。テレビ局由来の構成力を活かし、工場長の説明も専門用語だけにならないよう、設計者が実務で悩む順番に並べ替えた。

また、広告運用でもクリック数だけを追わず、技術記事の滞在時間、資料ダウンロード後の返信率、展示会後メールからの再訪率を確認した。株式会社デジアサは、動画を作って終わりではなく、どの情報が技術相談につながったかまで検証する。結果として、職人技を持つ会社から、設計段階で声がかかる会社へ見え方を変えることができた。

技術記事別の再訪率、CADデータ添付率、図面確定前相談数、展示会名刺からの90日以内商談化率を毎月確認した。特に、見積依頼ではなく加工相談として入ってきた案件を別管理し、営業会議では単価よりも開発段階で接点を持てたかを重視した。

■ 追加で設計した運用改善

追加で、展示会前後の運用も設計した。展示会前には「今回相談できる加工テーマ」をSNSとメールで告知し、当日はブースでQRコードから加工解説動画へ誘導した。展示会後は、来場者を業種別に分け、医療機器向け、搬送機器向け、自動車試作向けで別々のメールを配信した。

さらに、営業と技術部の連携ルールも整えた。問い合わせ内容に「材質変更」「公差相談」「量産前提」という言葉が含まれる場合は、営業だけで返信せず、技術担当が24時間以内にコメントを入れる流れにした。小さな運用改善まで含めたことで、問い合わせ数だけでなく、相談の深さまで変えることができた。

さらに、社内で使う管理表も整備した。問い合わせのきっかけ、閲覧したコンテンツ、初回対応で出た不安、次回提案内容を残すことで、翌月の動画企画や広告文に反映できるようにした。現場でよく聞かれる質問を次のコンテンツに変える運用にしたため、記事や動画が増えるほど問い合わせ前の不安が減る状態を作れた。

工場側にも負荷が偏らないよう、相談内容を難易度A・B・Cに分類した。Aは即回答、Bは技術担当確認、Cはオンライン打ち合わせ提案とし、営業が迷わず対応できるようにした。

この運用で意識したのは、記事内で扱う情報を加工難易度、試作ロット、図面完成度、量産時の治具費、設計変更の余地のような具体項目に落とし込むことだった。抽象的に『安心できます』『実績があります』と書いても、問い合わせ前の検討者には響きにくい。実際に迷っている場面、家族や社内で説明するときに必要な材料、担当者へ聞きたいが聞きにくい質問を先回りして掲載した。

そのため、制作する動画や記事も単発ではなく、問い合わせ前の会話を代わりに進める役割を持たせた。最初は興味を持つための内容、次に比較検討するための内容、最後に問い合わせ直前の不安を減らす内容という順番で接点を設計した。これにより、閲覧者はページを読むほど『自分の状況でも相談してよさそうだ』と感じやすくなり、営業側も初回対応でゼロから説明する必要が少なくなった。

■ まとめ

製造業の問い合わせ改善では、単に技術力をアピールしても十分ではない。設計者が困る瞬間に、どのような相談ができる会社なのかを見せることが重要だった。株式会社デジアサでは、動画、記事、広告、展示会後フォローを一体化し、名刺獲得後の検討プロセスまで設計した。だからこそ、展示会で出会った見込み客を、単なる価格比較ではなく技術相談へ進めることができた。

結果を出したい場合、まずはお気軽にこちらからお問合せくださいませ。

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