「若手が現場に来ない」建設会社が、“職人のかっこよさ”を見せて応募数を改善した理由
※本記事は想定シミュレーションです。数値は仮設定です。
■ 企業概要
関西圏で公共工事、商業施設、マンション改修を手がける建設会社。社員数は約95名で、施工管理、現場監督、職人チームを自社で抱えていた。創業40年以上の実績があり、工事品質や安全管理には定評があったが、若手採用では大きな壁にぶつかっていた。
特に採用に苦戦していたのは、施工管理補助、現場作業スタッフ、若手職人候補だった。求人媒体には年間約800万円を投下し、専門学校への訪問や合同説明会にも参加していたが、応募数は月平均5件前後。そのうち面接まで進むのは2件程度で、採用に至る月は限られていた。社内では「建設業のイメージが悪い」「若者は現場仕事を避ける」「給与を上げないと無理」という話が繰り返されていたが、ASAHIメソッドで見ると、課題は単純な人気不足ではなかった。
■ 本当の課題
採用ページや求人票の閲覧状況を確認すると、求職者は建設業に全く興味がないわけではなかった。むしろ、手に職をつけたい、体を動かす仕事がしたい、地域に残る仕事に関わりたいという関心はあった。しかし、応募フォーム前で多くが離脱していた。
ヒアリングで見えた不安は、「現場が怖そう」「上下関係が厳しそう」「怒鳴られそう」「未経験だと何もできなさそう」「夏や冬の働き方が分からない」「施工管理の仕事が具体的に想像できない」というものだった。つまり、建設業そのものを避けているのではなく、現場の実態が見えないために一歩を踏み出せなかったのである。
求人ページには、給与、資格支援、休日、手当は掲載されていた。しかし、求職者が見たかったのは、朝礼の雰囲気、先輩の教え方、現場での声かけ、作業が完成していく達成感、若手が成長する過程だった。条件は伝わっていたが、現場で働く自分の姿が浮かんでいなかった。
■ 実施した改善施策
ASAHIメソッドでは、まず「現場仕事の応募前不安マップ」を作成した。求職者の不安を、体力、上下関係、教育体制、安全性、将来性、仕事理解の6つに分け、それぞれに対応する動画と採用導線を設計した。
採用サイトでは、冒頭に現場の完成映像ではなく、若手社員の1日密着動画を配置した。朝の集合、先輩との打ち合わせ、現場での確認、昼休憩、夕方の振り返りまでを短く見せ、仕事の流れが分かるようにした。さらに、施工管理と職人の違い、未経験者が最初に任される仕事、資格取得までのステップも動画で説明した。
Instagramでは、完成写真だけでなく、現場の準備、道具紹介、安全確認、若手が先輩に質問する様子を発信した。特に反応が良かったのは、「入社1年目が初めて現場で任された仕事」という動画だった。派手な演出はなかったが、コメント欄には「思ったより丁寧に教えてもらえるんですね」「現場の印象が変わった」という反応が増えた。
YouTubeでは、ベテラン職人の技術紹介、若手施工管理の成長記録、現場監督の本音座談会を展開した。建設業の大変さを隠さず、暑さや納期の厳しさも語ったうえで、それでも続ける理由、完成時の達成感、チームで作る面白さを伝えた。綺麗な採用動画よりも、本音のある動画の方が信頼につながった。
ダイレクトリクルーティングでは、建築系学科の学生だけでなく、スポーツ経験者、警備、物流、製造など体を使う仕事の経験者にも対象を広げた。スカウト文では「建設業に興味ありませんか」ではなく、「チームで物事をやり切った経験を、現場づくりに活かせる仕事です」という切り口に変えた。候補者ごとに、施工管理向け、職人向け、未経験向けの採用LPを出し分けたことも返信率改善につながった。
■ 改善後の変化
改善開始から6ヶ月後、採用サイト経由の応募数は月平均5件から19件へ増加。特に20代未経験者からの応募が増えた。採用ページに埋め込んだ動画の視聴完了率が高く、動画視聴後の応募率も改善した。
面接時の会話にも変化が出た。以前は「仕事内容を詳しく教えてください」という質問が多かったが、改善後は「動画に出ていた資格取得の流れについて聞きたい」「若手が現場でどう成長するか知りたい」といった具体的な質問が増えた。会社理解が進んだ状態で面接に来る応募者が増えたのである。
また、現場見学への参加率も上がった。Instagramで日常の雰囲気を見ていたことで、見学前の心理的ハードルが下がった。採用担当者からも、「怖そうという先入観を持たずに来る人が増えた」という声が上がった。
■ さらに行った細かな改善
建設業の採用で特に重視したのは、現場の迫力だけでなく、人の温度を伝えることだった。そのため、採用サイトでは完成実績よりも先に、若手社員の顔、現場での会話、教育の様子を配置した。動画埋め込みも、ページ下部ではなくファーストビュー直下に置き、離脱前に安心材料が届くようにした。
Instagramの投稿設計も変えた。月初は工事の意義、月中は若手の成長、月末は現場の疑問回答という流れにした。道具紹介や安全対策も、単なる情報ではなく「未経験者でも危険を減らせる仕組み」として見せた。
■ ASAHIメソッドだからできたこと
この改善が成立した理由は、ASAHIメソッドが建設業の採用を“条件勝負”ではなく“誤解解消”として捉えたからだった。採用サイトでは不安を消し、Instagramでは親近感を作り、YouTubeでは仕事理解を深め、ダイレクトリクルーティングでは候補者の経験に合わせて個別に背中を押した。
毎月の分析では、再生数だけでなく、採用LPの滞在時間、動画視聴後の応募率、現場見学参加率を確認した。一般的な採用広報では見た目の良い現場動画で終わりがちだが、必要だったのは応募前の怖さを減らすことだった。
■ 追加で設計した運用改善
さらに、採用コンテンツを協力会社や専門学校向けの説明資料にも活用した。若手社員の動画を説明会で流すことで、パンフレットだけでは伝わらない現場の空気を共有できた。
また、YouTubeの長尺動画を面接前フォローにも使った。面接前に「現場監督の1日」「若手社員座談会」を送付したことで、面接当日の質問が具体化し、ミスマッチも減少した。ASAHIメソッドでは、SNSで興味を作り、動画で理解を深め、採用サイトで不安を解消し、スカウトで接点を作る。この流れを設計したからこそ、応募数だけでなく選考歩留まりまで改善できた。
■ まとめ
この建設会社では、求人条件を強く打ち出すことではなく、現場で働く人の姿を丁寧に見せることが成果改善に直結した。ASAHIメソッドは、採用サイト、YouTube、Instagram、広告、ダイレクトリクルーティングを連動させ、求職者が抱える先入観を一つずつ解消する。だからこそ、建設業はきつそうという印象から、ここなら成長できそうという応募意欲に変えることができた。
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