「エンジニア採用で競合に負ける」IT企業が、“開発カルチャー”を見せて応募率を改善した理由
※本記事は想定シミュレーションです。数値は仮設定です。
■ 企業概要
関西と東京に拠点を持つ社員数約160名のIT企業。SaaS開発と受託開発を両方展開しており、顧客基盤は安定していた。プロダクトの継続率も高く、開発チームの技術力には自信があったが、エンジニア採用では大手IT企業や有名スタートアップに候補者を取られる状況が続いていた。
特に採用に苦戦していたのは、Webエンジニア、プロジェクトマネージャー、UI/UXデザイナー、若手開発メンバーだった。求人媒体、エージェント、スカウトツールを活用し、年間約1,500万円を投下していたが、応募数は月平均15件前後。カジュアル面談までは進んでも、選考途中で辞退されるケースが多かった。社内では「知名度がない」「年収でメガベンチャーに負ける」「リモート条件で比較される」という声が上がっていたが、ASAHIメソッドで分析すると、候補者が見ていたのは条件だけではなかった。
■ 本当の課題
採用サイトの閲覧状況、スカウト返信率、カジュアル面談後の辞退理由を確認すると、候補者は事業や技術に一定の興味を持っていた。しかし、開発チームの雰囲気、意思決定の速さ、コードレビュー文化、技術選定の自由度、プロダクトへの関わり方が十分に伝わっていなかった。
候補者からは、「どの程度モダンな開発環境なのか分からない」「受託と自社開発の比率が見えない」「エンジニアが事業に意見を言える会社なのか判断できない」「入社後にどんなチームで働くか想像できない」という声が多かった。つまり、応募しない理由は単なる認知不足ではなく、開発者として成長できる環境か判断できないことだった。
求人ページには、使用技術、募集要項、リモート制度、福利厚生は掲載されていた。しかし、候補者が本当に知りたかったのは、なぜその技術を選んだのか、レビューはどのように行われるのか、プロダクト改善にどこまで関われるのか、エンジニア同士がどのように学び合っているのかだった。
■ 実施した改善施策
株式会社デジアサは、YouTube運用・SNS広告・動画制作・LP改善を横断して支援するマーケティング会社である。
ASAHIメソッドでは、最初に「エンジニア応募前判断マップ」を作成した。候補者の不安を、技術環境、チーム文化、事業関与、評価制度、働き方、成長機会の6つに分けた。そのうえで、採用サイト改善、YouTube、Instagram、ダイレクトリクルーティングを連動させた。
採用サイトでは、募集要項の前に「開発チームの考え方」が分かる動画を埋め込んだ。CTOインタビュー、コードレビューの進め方、スプリントレビューの様子、若手エンジニアの成長ストーリー、PMとエンジニアの関係性を短尺動画で配置した。単に技術スタックを並べるのではなく、どのような思想で開発しているかを見せたのである。
YouTubeでは、CTOによる開発組織の考え方、現場エンジニアの座談会、プロダクト改善の裏側、失敗した技術選定から学んだことを長尺で発信した。採用動画らしい綺麗な編集よりも、実際の開発現場の言葉を重視した。特に反応が良かったのは、「入社して驚いたコードレビュー文化」という動画だった。
Instagramでは、エンジニアの日常を軽く見せるだけではなく、開発合宿、勉強会、リモート勤務日の過ごし方、チーム内の雑談、リリース日の雰囲気を短尺化した。候補者が会社の温度感をつかめるようにした。
ダイレクトリクルーティングでは、候補者のGitHub、職務経歴、経験技術を踏まえ、スカウト文を分岐した。フロントエンド経験者にはUI改善の裁量、バックエンド経験者にはアーキテクチャ改善、PM志向のエンジニアにはプロダクト企画への関与を訴求した。スカウト内には、該当職種の動画と採用LPを添付し、返信前に開発カルチャーを理解できるようにした。
■ 改善後の変化
改善開始から6ヶ月後、採用サイト経由の応募数は月平均15件から37件へ増加。特に、YouTube動画を視聴した候補者のカジュアル面談参加率が高まった。スカウト返信率も1.6倍に改善し、候補者からは「開発組織の考え方が分かった」「現場の雰囲気が見えて安心した」という返信が増えた。
選考途中の辞退も減少した。以前は、面談後に比較検討されて離脱するケースが多かったが、改善後は入社後のイメージを持った状態で選考に進む候補者が増えた。面接でも、技術スタックだけでなく、レビュー文化やプロダクト改善への関わり方について具体的な質問が増えた。
■ さらに行った細かな改善
IT企業の採用で特に重視したのは、抽象的な「自由な社風」ではなく、具体的な開発行動を見せることだった。採用サイトでは、リモート可、フレックスありといった条件だけでなく、実際にどのようにタスクを決め、誰がレビューし、どのように意思決定するかを動画で示した。
Instagramの投稿も、福利厚生紹介中心から、開発チームのリアルへ切り替えた。月初はプロダクトの課題、月中は技術やチーム運営、月末は社員のキャリアや学習文化という流れにした。候補者が継続的に接触することで、会社理解が深まるようにした。
■ ASAHIメソッドだからできたこと
この改善が成立した理由は、ASAHIメソッドがエンジニア採用を単なる母集団形成ではなく、候補者の比較検討プロセスとして捉えたからだった。採用サイトで判断材料を整え、YouTubeで深い理解を作り、Instagramで日常の温度感を伝え、ダイレクトリクルーティングで個別の関心に合わせて接点を作った。
毎月の分析では、応募数だけでなく、スカウト返信率、動画視聴後の面談率、面談後の選考移行率、辞退理由を確認した。必要だったのは、多くのエンジニアに見られることではなく、自社に合うエンジニアに深く理解されることだった。
■ 追加で設計した運用改善
さらに、採用コンテンツを技術広報にも活用した。YouTubeで公開した開発の裏側や技術選定の考え方を、ブログやSNSにも展開することで、採用候補者以外のエンジニアにも接点が広がった。
また、内定承諾前の候補者には、実際に一緒に働くメンバーの動画やプロジェクト紹介を送付した。これにより、最後の意思決定時の不安を減らすことができた。ASAHIメソッドでは、認知、理解、面談、選考、内定承諾までを一つの導線として設計する。だからこそ、IT企業の採用に必要な“技術理解”と“カルチャー共感”を同時に作ることができた。
■ まとめ
このIT企業では、年収や知名度だけで勝負するのではなく、開発者が知りたいカルチャーを具体的に見せることが成果改善に直結した。ASAHIメソッドは、採用サイト、YouTube、Instagram、ダイレクトリクルーティングを連動させ、候補者が入社後の働き方を判断できる材料を届ける。だからこそ、競合に埋もれていたIT企業でも、開発環境に魅力を感じて応募される状態を作ることができた。
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