「求人を出しても若手が来ない」地域密着型の介護施設が、“職員の表情”を見せて応募数を改善した理由
※本記事は想定シミュレーションです。数値は仮設定です。
■ 企業概要
大阪府内で特別養護老人ホームとデイサービスを運営する介護法人。職員数は約180名で、地域では20年以上の運営実績があった。利用者家族からの評価は高く、看取り対応や認知症ケアにも力を入れていたが、採用面では慢性的な人手不足が続いていた。
特に困っていたのは、介護職員、生活相談員、夜勤対応ができる若手人材の採用だった。求人媒体には年間約1,200万円を投下し、人材紹介会社も併用していたが、応募数は月平均10件前後。そのうち面接まで進むのは4〜5件、採用に至るのは月1名程度にとどまっていた。社内では「介護は人気がない」「給与水準で他業種に負けている」「若い人は福祉の仕事を選ばない」という見方が強くなっていたが、株式会社デジアサで分析すると、問題は待遇面だけではなかった。
■ 本当の課題
採用サイトの閲覧状況、求人媒体からの流入、応募フォーム直前で離脱したユーザーの動きを確認すると、求職者は介護の仕事そのものよりも、職場の雰囲気と人間関係に強い不安を感じていた。面接辞退者へのヒアリングでも、「忙しすぎて教えてもらえなさそう」「職員同士がピリピリしていそう」「夜勤の実態が分からない」「未経験で入って迷惑をかけないか不安」という声が多かった。
つまり、求職者は介護の仕事に興味がないのではなく、応募後の自分の姿を想像できていなかった。求人ページには、給与、勤務時間、資格手当、休日数は掲載されていた。しかし、本当に知りたかったのは、先輩がどのように教えてくれるのか、休憩中はどんな雰囲気なのか、利用者とどのような関係を築いているのか、夜勤中に一人で抱え込まない体制があるのか、という日常のリアルだった。条件は伝わっていたが、安心して働ける理由が伝わっていなかったのである。
■ 実施した改善施策
株式会社デジアサでは、最初に「介護職の応募前不安マップ」を作成した。求職者が認知から応募までに抱える不安を、体力面、人間関係、教育体制、夜勤、利用者対応、キャリアの6つに分類した。そのうえで、採用サイト改善、YouTube、Instagram、広告、ダイレクトリクルーティングの役割を分けた。
まず採用サイトでは、ファーストビュー直下に「職員の1日密着動画」「未経験入社3ヶ月後インタビュー」「夜勤の流れ」「教育担当者のメッセージ」を埋め込んだ。従来の採用ページは募集要項中心だったが、改善後は“自分がここで働いたらどうなるか”を先に見せる構成に変更した。動画は長すぎないよう、採用サイト上では30〜90秒の短尺を中心に配置し、深く知りたい人にはYouTubeの長尺インタビューへ遷移できる導線を作った。
Instagramでは、イベント写真だけではなく、朝の申し送り、利用者との会話、職員同士の声かけ、昼休憩の雰囲気、入浴介助後の振り返りなどをシリーズ化した。特に反応が良かったのは、「入社前に一番不安だったことを先輩に聞いてみた」というリール動画だった。再生数は派手ではなかったが、保存率が高く、採用サイトへの遷移も増えた。
YouTubeでは、施設長の理念動画ではなく、若手職員、子育て中の職員、異業種から転職した職員のロングインタビューを公開した。介護のやりがいだけでなく、最初につまずいたこと、辞めたいと思った瞬間、続けられた理由まで話してもらったことで、綺麗ごとではない信頼感が生まれた。
さらに、戦略的なダイレクトリクルーティングも実施した。介護経験者だけでなく、接客業、保育補助、医療事務、販売職経験者など、対人コミュニケーション力を持つ候補者に絞り、画一的なスカウト文ではなく、「あなたの接客経験は利用者との関係づくりに活かせる」という文脈で連絡した。スカウト内には職員インタビュー動画と採用LPを添付し、返信前に職場の空気を理解できるようにした。
■ 改善後の変化
改善開始から6ヶ月後、採用サイト経由の応募数は月平均10件から31件へ増加。応募単価は約38%改善し、面接設定率も上昇した。特に変化が大きかったのは、未経験応募者の質だった。以前は「とりあえず応募」の人も多かったが、改善後は「動画を見て職員の雰囲気が良かった」「利用者との関係性に惹かれた」「教育体制が分かったので安心した」という理由で応募する人が増えた。
面接辞退率も低下した。応募後にYouTube動画や施設紹介コンテンツを自動送付したことで、面接前に不安が解消され、当日の参加率が改善した。入社後も、事前に仕事内容を理解している人が増えたことで、早期離職率に改善が見られた。
■ さらに行った細かな改善
介護採用で特に重視したのは、応募前の不安を“制度説明”ではなく“日常の見える化”で解消することだった。そのため、採用ページには「未経験者が最初の1ヶ月で覚えること」「夜勤前に確認すること」「困ったときに誰へ相談するか」を動画とテキストで配置した。
また、Instagramの投稿計画も月単位で設計した。月初は施設の考え方、月中は職員の日常、月末は応募者から多い質問への回答という流れにした。単発の投稿ではなく、1ヶ月を通して不安が少しずつ解ける構成にしたのである。
■ 株式会社デジアサだからできたこと
この改善が成立した理由は、株式会社デジアサが「採用動画を作る」だけで終わらないからだった。採用サイトにどの動画を埋め込むか、Instagramでは何を短く見せるか、YouTubeでは何を深く語るか、ダイレクトリクルーティングでは誰に何を届けるかを一体で設計した。
毎月の分析では、再生数よりも採用ページ遷移率、応募率、面接参加率、辞退理由を重視した。介護採用に必要だったのは、派手にバズる動画ではなく、応募前の迷いを減らす安心材料だった。求職者がSNSで職場の空気に触れ、採用サイトで不安を解消し、YouTubeで理解を深め、最後にスカウトで背中を押される。この流れを作れたからこそ、応募数だけでなく採用率まで改善できた。
■ 追加で設計した運用改善
さらに、採用コンテンツを施設見学前にも活用した。見学予約者には、当日会う職員の紹介動画や施設内の動線動画を事前送付し、初対面の緊張を下げた。これにより、見学後の面接希望率が改善した。
また、採用活動で制作した動画は、利用者家族向けの安心材料としても活用できた。職員の表情や介護方針が伝わることで、採用だけでなく施設全体の信頼形成にもつながった。株式会社デジアサでは、採用広報を単なる人集めではなく、法人の信頼資産づくりとして設計する。だからこそ、短期的な応募獲得と中長期的なブランド形成を同時に進めることができた。
■ まとめ
この介護施設では、求人媒体への出稿量を増やすことではなく、求職者が抱える不安を職員の表情と言葉で解消することが成果改善に直結した。株式会社デジアサは、採用サイト、動画、SNS、広告、ダイレクトリクルーティングを別々に運用するのではなく、応募までの心理変化を設計する。だからこそ、介護は大変そうという印象から、ここなら支えてもらいながら働けそうという理解へ変えることができた。
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